ソロモンの二重螺旋

 
「ぁう……」
 肛門から肉棒を引き抜かれる感触に、ジョセフは掠れた声で呻き声を漏らした。先ほどまで散々蹂躙されていた彼の肉穴がひくりと蠢き、血の混じった精液が一滴流れ出る。そんなジョセフから身を離し、ザーギンは誰にともなく呟いた。
「さて……そろそろ動いている頃合いかな」
 彼らが今いるなだらかな丘を下り森を越えた先には、山や森に挟まれた僅かな平地に位置する小さな村があった。だがその村には死の影が忍び寄っていた。数刻前、ザーギンの命を受けたベアトリスの手で村に数体のデモニアックが放たれたのである。それを阻止しようとしたジョセフは逆に返り討ちに遭い、揚げ句の果てに陵辱されてこの様である。
「ザーギン……」
 立ち上がる力すら根こそぎ奪われて無様な姿で地面に転がり、ザーギンの手で蹂躙しつくされたジョセフが、縋るような、だが揺るぎない眼差しで訴えかけてきた。
 ジョセフの半分脱がされた衣服は申し訳程度に身体に纏わりついているだけで服としての機能を果たさず、あられもなく曝け出された肛門からは白濁した液が滴り落ちて地面にしみを作っていた。
「ザーギン、もう止めよう。こんな事は。世界を終わらせ、人という種を滅ぼしたとしても、それは救いにはならない。ならないんだ」
「ジョセフ、私にはこの世界を終わらせ、新しく作り替える義務がある。もちろん君にもだ。我々には神の意志による滅びと世界の再生を成就させる義務がある」
「違う。それは神の意志ではない。滅びによる救済など、主は望んではおられない筈だ」
 ジョセフを見つめるザーギンの目に失望とも哀れみともつかない色が浮かんだ。
「やはり君とはどこまで行っても分かり合えないまま、か。できれば君と道を違えたまま事を成すことは避けたいが……仕方がない」

※続きは本で